ワンタイム+常駐接続で使える
リモートコントロール
大学設備をシェアする時代
リモートツールの導入で一般企業など研究設備の外部利用を促進
外部利用の拡大による収益で、設備維持費を捻出
まとめ
福島大学
農学群・食農学類
2019年に発足した食農学類には、森林や農地・農業用水を対象とする生産環境学コース、農場での生産活動を支える農業生産学コース、素材を加工して消費者につなぐ食品科学コース、さらにフードチェーン全体を視野におさめる農業経営学コースが設けられています。実践的な農学を重視し、学際的な連携力を高めることで、近未来の食料・農林業・地域社会の課題の解決に貢献できる人材を養成しています。
福島大学
農学群・食農学類
教授 平修(たいら しゅう)様
大学の研究設備には、一般の企業が導入しにくい高性能で高価な分析装置などが多数、導入されています。文部科学省は20年前から、学内設備を積極的に外部に開放・利用する方針を示していました。
しかし、外部開放・利用はあまり進んでいないのが実情だったと、福島大学の平様は打ち明けます。
平様「東京などの大都市部では、大学の周囲に多くの企業があります。これに対して、地方大学では、ユーザー企業が直接、大学に来て設備を利用することが難しいという背景があります。そのため、設備を外部開放しても、なかなか利用は進んでいませんでした。」
さらに、設備を維持するための予算が十分に確保できず、せっかく導入した設備の維持に苦労している例も珍しくないと、平様は指摘します。
福島大学では、2018年に全国の大学で初めてになる「高速質量分析イメージ取得システム(イメージング質量分析:IMS)」を導入しています。そして、この技術を学外にも開放する外部利用制度を2019年から開始しています。
この外部利用制度で活用されているのが、ワンタイム+常駐接続で使えるリモートコントロールツール「ISL Online」です。
IMSを利用したいユーザー企業は、分析する試料を福島大学に送付します。試料は大学職員が分析装置にセットし、その後の装置の操作は「ISL Online」を介して、ユーザー企業側が遠隔で行います。
平様「ユーザーが大学に来る必要がなくなり、利便性が向上し、外部利用者が増加しました。初年度の外部利用による収益は2,000万円を超え、十分に設備の維持費を賄うことができました。」
さらに平様は、測定装置だけでなく、高価な解析ソフトもリモートで利用できるようにしていることも利用が拡大した理由だと分析します。
「ISL Online」を導入するきっかけについて、IMSのメーカーがリモートでメンテナンスを行っていたことがヒントになったと平様は振り返ります。
平様「メーカーが使用していたツールは分かりづらく、Windowsのリモート機能も使いにくかったので、使いやすいリモートツールを探していました。検索で『ISL Online』を見つけ、オンラインで相談をして、トライアルでやりたいことができることを確認しました。ユーザーが企業なので、リモートツールのセキュリティーについて質問されることがありますが、これまで企業の情報システム担当者から問題を指摘されたことは一度もありません。」
「ISL Online」を「安全に操作してもらうことができるツール」と評価する平様は、「IMSのある部屋は機器の駆動音が大きかったり機器の都合で暖房を入れられず気温が低いので、実は学内利用でもリモート機能を活用しており、実験環境の改善にもつながっています。」と想定外のメリットもあったと話します。
福島大学では、2021年に導入した新しい分析装置でも同様の仕組みを構築して、利用者の拡大を目指しています。
平様は、地の利が無い地方大学で、学内設備の外部利用促進で悩んでいる場合に、ぜひ活用してほしいツールとして、「ISL Online」を高く評価しています。
リモートツールの活用は、今後、大学設備をシェアする場合のスタンダードになるのかもしれません。